2011年02月05日

訃報

 沖縄地方で驚くのはお墓と訃報の大きいことだ。沖縄の新聞の訃報が巨大なスペースを占めているとは聞いていたが、なるほどすごい。わが家では沖縄県の地方紙「沖縄タイムス」と八重山諸島の地方紙「八重山毎日新聞」を購読しているが。特に沖縄タイムスの訃報欄は圧巻である。ドンと1ページが訃報で埋まっている。

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 地域のつながりが濃密な島では、訃報は重要な情報源だから、中央紙の訃報などと比べようもないほど、情報量が多い。島人の文化や気質がうかがえる。

 沖縄タイムスの場合、訃報1つのスペースは縦が1段(7cm)で、幅は10cm前後が普通だが、大きいものでは幅15pを超える。企業の社長のような関係先が多い人の家族がなくなった場合は、関連企業や団体のお知らせが並ぶから、1段を埋めるほどのこともある。

 まず目を引くのは、大書された故人の名前である。ナイチャー(内地人)の私には、初めて見る苗字が多い。ルビが振ってある。「そう読むんだ」と目を開かれることがしばしばである。

 名前の後に、屋号や死因、享年が記されている。長寿の土地である。80代90代は当たり前、100歳を超える方も普通にいる。すごいと思う。他界したという表現にいくつかパターンがある。おおむね90歳を超えた方は「**歳の天寿を全うし永眠いたしました」と書かれている。おおむね80代以下の場合は「**歳をもって永眠いたしました」か「**をもって急逝いたしました」と書かれる。新聞社の人に聞くと、「天寿」とするかどうかは、家族の希望によるので、特に何歳という線はないが、生年祝いのトーカチの85歳、米寿の88歳や90歳の区切りが目安になっているという。享年は数え歳で記す。
 
 死因も具体的に書かれていることが多い。「病気療養中のところ」が普通だが、「急性心不全のため」「急性心筋梗塞のため」や「不慮の事故で」と記されていることも珍しくない。「個人情報が・・・」とも思うが、あいまいに書いて心配されるより、はっきり伝えた方がよいと考えるからだと、沖縄タイムスの人は言う。伝えるべき相手が多いから、「どうして?」と問い合わせさせては申し訳ないということかも知れない。

告別式の日時、場所があって、その後に喪主以下の名前が並ぶ。子どもたちとその嫁、婿から孫、義理の兄弟、甥姪、親戚、友人と名前が並ぶ。長寿の人には孫嫁、孫婿、曾孫まで記してある。一族郎党が並ぶ。親族の中には「在スペイン」「在アメリカ」などとの記載、カタカナの名前も多い。これはそれぞれの近況報告の意味もあるのだという。最後には故人が参加していた地域や趣味の会、町会などが記される。多いと50人60人が並ぶ。100人近いのも見た。壮観である。

八重山毎日新聞に聞くと、「死去を新聞で知る人が9割以上」と言う。親族の名前が記されるので、「**ちゃんのばあちゃんが亡くなった」というように、多くの関係者に伝わるから名前を連ねるのだという。地元の人は「子宝に恵まれた、長生きした、と誇る気持ちがあるさぁ」と言う。

島に来て感じるのは「いのち」である。生と死が当たり前にあり、生活の一部になっている。都会では、死を忌み、遠ざけることが多いが、ここは死が普通で近しいものと感じられる。訃報も私には意義ある読み物である。


posted by しまちゃん at 10:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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